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地域防災計画等の収集調査結果の概要


A.研究目的

   災害発生時に迅速かつ適切に行政対応を行うためには、防災計画やマニュアル等を平常時から整備しておくことが重要である。そこで、各自治体が策定している地域防災計画、災害時保健活動マニュアル、様式の現状について明らかにし、それらの改善に資することを目的とした。

B.研究方法

   全国衛生部長会の協力を得て、全国の都道府県及び政令指定都市の保健衛生主管部局長宛に、平成24年11〜12月に、地域防災計画・災害時保健活動マニュアル等・各種様式類の送付を依頼するとともに、アンケート調査を実施した。
地域防災計画等の収集調査票(PDF)

C.結果

   67自治体中66自治体から回答が得られた。問1、問3〜問6 問8 問10〜問12 問14について、得られた回答数(n)とその回答率(%:分母は全回答66自治体)を表に示す。

問1 自治体での地域防災計画への記載事項について、医療救護の調整65自治体(98.5%)、被災者の健康状態の把握58自治体(87.9%)、災害ボランティア、NPO等との協働58自治体(87.9%)などが多く、自治体外の災害への保健師等の派遣10自治体(15.2%)で少なかった。
問3 災害時における自治体間の相互支援協定の締結状況は、地域ブロックでの協定59自治体(89.4%)が多かった。
問4 46自治体(69.7%)が災害時保健活動マニュアルを策定していた。
問5 災害時保健活動マニュアルへの記載事項について、災害発生時の関係機関との間の情報収集提供の方法38自治体(57.6%)、心のケアの方法38自治体(57.6%)などが多かく、栄養確保の方法で少なかった。
問6 24自治体(36.4%)が他自治体のマニュアル以外の資料を参考に災害時保健活動マニュアルを策定していた。
問8 本調査の回答対象のマニュアル以外に、都道府県下の市町、都道府県・市下の保健所等が策定した災害時保健活動マニュアルがあるのは、20自治体(30.3%)であった。
問10 自治体での災害時に使用する様式類の整備として、避難所等での活動記録(日報)42自治体(63.6%)、避難所等の環境・状況記録37自治体(56.1%)などが多かった。
問11 60自治体(90.9%)が自治体での災害対応に向けた教育や訓練を実施していた。
問12 教育や訓練の内容として、総合的な実地訓練を行う56自治体(84.8%) 研修会や講演会等を行う54自治体(81.8%)などが多く、危機管理防災部局主催では、総合的な机上訓練を行う49自治体(74.2%)、保健衛生(福祉)部局主催では、研修会や講演会等を行う30自治体(45.5%)などが多かった。
問14 28自治体(42.4%)が教育や訓練の際に災害時保健活動マニュアル等を活用していた。



問1.自治体での地域防災計画への記載事項(複数回答)
  n
医療救護の調整 65 98.5
被災者の健康状態の把握 58 87.9
災害ボランティア、NPO、企業との協働 58 87.9
避難所における健康的な環境の確保 56 84.8
福祉避難所の設置 55 83.3
感染症発生情報の把握 52 78.8
被災地外からのDMATや医療救護チームの受け入れ 44 66.7
災害発生後の長期的な対応 36 54.5
被災地外からの派遣保健師や公衆衛生支援チームの受け入れ 25 37.9
自治体外の災害へのDMATや医療救護チームの派遣 17 25.8
災害医療コーディネーターの設置 12 18.2
食糧の調達等における管理栄養士等の専門職の関与 12 18.2
職員の健康管理 12 18.2
自治体外の災害への保健師や公衆衛生支援チームの派遣 10 15.2
上記のいずれも記載はない 0 0.0

問3.災害時における自治体間の相互支援協定の締結状況(複数回答)
  n
地域ブロックでの協定 59 89.4
政令指定都市間の協定 22 33.3
その他の協定 31 47.0
締結していない 1 1.5

問4.災害時保健活動マニュアルの策定状況
  n
策定している 46 69.7
策定していない 20 30.3

問5.マニュアルへの記載事項(複数回答)
  n
災害発生時の関係機関との間の情報収集提供の方法 38 57.6
心のケアの方法 38 57.6
平常時から準備しておくべき活動資材 37 56.1
避難所の環境や状況の把握の方法 37 56.1
被災者の健康相談の方法 37 56.1
平常時からの関係機関との連携の方法 36 54.5
在宅被災者の健康状態の把握の方法 35 53.0
災害時要援護者の支援の方法 35 53.0
避難所等での感染症発生の把握の方法 32 48.5
災害発生後の長期的な対応 29 43.9
避難所等における食品衛生管理の方法 27 40.9
避難所での良好な環境、トイレの確保の方法 27 40.9
平常時の教育訓練の方法 26 39.4
自治体外からの災害支援専門職の受け入れの方法 26 39.4
災害発生時の医療の調整の方法 26 39.4
自治体外の災害への支援の方法 25 37.9
避難所が開設された場所の把握の方法 25 37.9
地区組織や災害ボランティアとの協働の方法 24 36.4
福祉・介護担当部局と連携した活動の方法 22 33.3
自治体内での相互支援の方法
(被害の少ない地域から被災地への支援)
21 31.8
職員の健康管理の方法 21 31.8
一般被災者の栄養確保の方法 16 24.2
特殊な食糧等を要する被災者の栄養確保の方法 15 22.7
上記のいずれもない 1 1.5

問6.マニュアル策定時に参考にしたもの(複数回答)
  n
他自治体のマニュアルを参考 14 21.2
その他の資料 24 36.4
特に参考にしたものはない 10 15.2

問8.市町村、都道府県・市下の保健所等が策定した災害時保健活動マニュアル
  n
ある 20 30.3
特に把握していない 38 57.6

問10.自治体での災害時に使用する様式類の整備(複数回答)
様式の種類 n
避難所等での活動記録(日報) 42 63.6
避難所等の環境・状況記録 37 56.1
個別の健康相談記録 35 53.0
保健師等の地域活動記録(日報) 35 53.0
被災者の健康調査票 31 47.0
何らかの集計表 26 39.4
その他 24 36.4
様式を定めているものはない 14 21.2
避難所等の感染症発生報告 13 19.7
個別の医療記録 6 9.1

問11.自治体での災害対応に向けた教育や訓練の実施状況
  n
実施している 60 90.9
実施していない 2 3.0
無回答 4 6.1

問12.教育や訓練の内容(「実施している」自治体、複数回答)
内容 n
総合的な実地訓練を行う  56 84.8
研修会や講演会等を行う 54 81.8
総合的な机上訓練を行う 52 78.8
貴自治体外の研修会や講演会等に参加させる 40 60.6
医療・保健分野に特化した実地訓練を行う 20 30.3
医療・保健分野に特化した机上訓練を行う 19 28.8
保健所と市町村と(政令市は都道府県と)の連絡訓練を行う 17 25.8
その他 5 7.6

問12.主催部局別の教育や訓練の内容(「実施している」自治体、複数回答)
主催部局 危機管理・
防災部局
保健衛生
(福祉)部局
その他
 内容 n n n
研修会や講演会等を行う 39 59.1 30 45.5 9 13.6
貴自治体外の研修会や講演会等に参加させる 22 33.3 19 28.8 7 10.6
医療・保健分野に特化した机上訓練を行う 3 4.5 17 25.8 1 1.5
総合的な机上訓練を行う 49 74.2 2 3.0 1 1.5
医療・保健分野に特化した実地訓練を行う 3 4.5 15 22.7 5 7.6
総合的な実地訓練を行う 52 78.8 2 3.0 2 3.0
保健所と市町村と(政令市は都道府県と)の連絡訓練を行う 8 12.1 10 15.2 2 3.0
その他 2 3.0 1 1.5 1 1.5

問14.教育や訓練の際の、災害時保健活動マニュアル等の活用状況
  n
活用している 28 42.4
活用していない 13 19.7
マニュアルを策定していない 20 30.3